
近年、スマートフォンの普及とSNSプラットフォームの多様化に伴い、新たな形態の詐欺被害が社会問題として浮上している。特に注目すべきは、TikTokをはじめとするSNSプラットフォーム上で横行する「簡単作業」を装った副業詐欺だ。消費者庁は先日、この問題について緊急の注意喚起を行い、被害の実態と対策について詳細な報告を発表した。
巧妙化する手口ー「単純作業」という甘い誘い文句
消費者庁の発表によると、この種の詐欺の特徴は、まず「誰でも簡単にできる」「スマートフォンだけで稼げる」といった甘い言葉で若者を誘い込む点にある。具体的な手口として最も多いのが、動画のスクリーンショットを撮影して送信するだけで報酬が得られるという謳い文句だ。
被害者の多くは、最初は数百円程度の少額報酬を実際に受け取ることができる。これにより詐欺グループへの信頼を獲得させ、その後により高額な「参加費用」の支払いへと誘導される仕組みになっている。消費者庁の調査では、初期の報酬額は平均して300円から1,000円程度で、その後要求される参加費用は5万円から30万円にも及ぶケースが報告されている。
深刻化する被害実態ー若年層を中心に急増
消費者庁の発表によると、2024年第1四半期だけでも、この種の詐欺による被害報告は前年同期比で約3倍に増加している。特に18歳から25歳までの若年層が被害者の約70%を占めているのが現状だ。
- コロナ禍以降の経済的不安による副業需要の高まり
- SNSプラットフォームにおける広告規制の不備
- 若年層の情報リテラシー教育の不足
- スマートフォンの普及による情報接触機会の増加
特に深刻なのは、被害に遭った後も「作業ミス」を理由に追加の支払いを要求されるケースだ。消費者庁の調査では、被害者の約40%が初回の参加費用に加えて、追加で平均15万円程度の支払いを要求されていたことが明らかになっている。
SNSプラットフォームの責任と対策の現状
この問題に関して、各SNSプラットフォームの対応は必ずしも十分とは言えない。TikTokは問題のある広告の削除や報告システムの強化を進めているものの、新たな手口による投稿は後を絶たない。
プラットフォーム側の対策として実施されている主な取り組みは以下の通りだが、その効果は限定的だという指摘が専門家から上がっている。
- AIを活用した不正広告の自動検出
- ユーザー報告システムの改善
- 広告主の身元確認強化
- 危険な副業に関する注意喚起の掲示
しかし、これらの対策をすり抜ける手口も次々と編み出されており、プラットフォーム側の対応は後手に回っているのが現状だ。

消費者庁が示す具体的な注意点
消費者庁は今回の注意喚起で、以下の点に特に注意を払うよう呼びかけている。
「簡単な作業で高収入」という謳い文句には要注意。特に、以下のような特徴がある広告や勧誘には細心の注意が必要だ。
- 最初は少額の報酬を実際に支払う手口
- 「期間限定」「残り枠わずか」などの焦らしの文言
- 連絡手段がSNSのダイレクトメッセージのみ
- 具体的な業務内容が明示されない
- 企業名や所在地が不明確
また、一度でも個人情報を提供してしまった場合、二次被害に遭うリスクも高いため、不用意な情報提供は避けるべきだとしている。
1
2







































































