また短期的な関係性に基づく雇用形態では、企業側の労務管理はしっかり行き届いているのだろうか。アプリ側に責任がないとすると、結局のところ労働者の権利が十分に守られない事態が発生する可能性はある。また、それに伴い、仕事に対する責任感や帰属意識の希薄化は、サービスの質の低下にもつながるのは前項のとおり。
企業側にとっても、常に変動する労働力に依存することは、組織の安定性や業務の継続性という観点から見れば、決して望ましい状況とは言えないだろう。
持続可能な働き方を目指して
ここで強調しておきたいのは、本記事はスキマバイトという働き方そのものを否定するものではないということである。むしろ、この新しい雇用形態が持つ可能性を最大限に活かしながら、同時に存在する課題にも真摯に向き合う必要性を指摘したい。
今後、さらなる働き方改革が進む中で、スキマバイトは確実に一つの選択肢として定着していくだろう。しかし、それを単なる人手不足解消の手段や、安易な収入確保の方法として捉えるのではなく、働く人々の将来を見据えた持続可能な仕組みとして発展させていく必要がある。
そのためにはまず、スキマバイトで働く人々のスキルアップやキャリア形成を支援する仕組みの構築である。単発の仕事であっても、それが将来のキャリアにつながるような教育研修プログラムの提供や、正社員への転換機会の見える化や、確保などが求められる。
次に、適切な労務管理と労働者保護の体制整備である。デジタルを活用した勤怠管理や、労働条件の透明性確保、適切な報酬設定など、働く人々の権利を守る取り組みを強化する必要がある。
さらに、企業側においても、スキマバイトを単なるコスト削減の手段としてではなく、多様な人材の活用による組織の活性化という視点で捉え直すことが重要である。

まとめーバランスの取れた働き方の実現に向けて
スキマバイトは、確かに現代社会が直面する様々な課題に対する一つの解決策となり得る。しかし、それを無批判に受け入れ、推進することは適切ではない。
働く人々の将来性や権利を守りながら、企業の生産性向上も実現する。そのバランスの取れた働き方を模索していくことこそが、今求められているのではないだろうか。
スキマバイトという新しい雇用形態は、まだまだ発展可能性を秘めている。その可能性を最大限に引き出しながら、同時に存在する課題を一つ一つ克服していくことで、真に価値のある働き方として確立されていくことを期待したい。
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