当たり前のことを当たり前にこなす難しさ
会社はどんなに小さくても、また大きくても、行っている事業を遂行して利益を得る活動目的があり、それを達成するため、的確にスタッフを配置し、戦略を練り、役割を決め、全員がその通りに動いていかなければなりません。そんな中であなたも、毎日上司の方から仕事の指示を受けてテキパキとこなしていくでしょう。それは本当に毎日同じ工程作業であったり、その日によって仕事のやり方が変わったり、はたまた営業職であれば新規の顧客をリサーチし、訪問し、顧客の傾向によって提案戦略を変えなければいけなかったり。それぞれの会社にあるその役割や仕事内容は、その会社にとっては「当たり前」と言いますか、目標を達成させるためのある意味重要な行動であるため、その通りに毎日をこなしていくという状況でしょうか。
その「当たり前のこと」を当たり前にこなし続けるには、やはり経験が必要です。しかしこの「当たり前のこと」は、どんなに経験を積んだ人でも実は難しいのです。なぜ難しいと言い切れるのかは後述しますが、例えば野球に例えると、投手だけでなく野手もそうなのですが、「イップス」というボールがうまく投げられなくなる現象があります。子供の頃から野球をやってきた人だって、今まで当たり前に腕を回してボールを投げられていたのに、ある日ある時突然ボールをまっすぐに投げられないのです。今まで何も考えずに投げられていたはずが、相手の胸に届くどころか、指が引っかかりとんでもない方向へ行ってしまう。そんな現象です。原因は今ひとつわかっていませんが、一つの要因としてそんな「当たり前のことが出来なくなる」のは、自分の中での、行動に対する気持ちの変化や、その行動に関する心の成長が影響しているのではないか、と筆者は思うのです。
仕事の話に戻りましょう。仕事を覚えたての頃は、言われたことを必死になって頭で考えて行動し、それ以外のことは考える余地がなかったでしょう。それが、経験を重ねてその仕事が板についたと言われるようになってくると、心に余裕が生まれると同時にその仕事の意義や本質を追求しようとします。少なからず自分が持つポリシーを持ち出して照らし合わせてしまう時もあるでしょう。そうしているうちに仕事において「当たり前のこと」とは何なのかを見失ってしまい、時に顧客へのサービスにムラができたり、いつもの作業にムラができたりしてしまうのです。人間は往々にして負の作用が働いてしまいがちで、時としてヒューマンエラーという形で現れます。それはコンピュータではなく人間なのだから仕方ないのです。だからこそ当たり前のことは実は難しく、奥が深いのです。そして当たり前のことを続けることは会社を発展させる大きな目標となり得る。その「難しさ」を乗り越えた先に、本当の意味での「心の成長」があるのです。