昇進機会の不平等|ガラスの天井の存在
女性は昇進しづらいこと。もう1つは、女性は昇進しても賃金スケールの下位の仕事に割り当てられやすく、男性ほどには賃金が上がらないという研究結果が示すように、女性が直面する問題は二重構造になっている。
まず、昇進機会そのものが男性に比べて限られているという問題がある。これは、長時間労働を前提とした日本の労働慣行と密接に関係している。管理職になるためには、残業や休日出勤を厭わない姿勢が評価される傾向があり、家庭責任を担うことが多い女性にとって、そうした働き方を続けることは現実的ではない。
さらに、昇進したとしても、男性と同等の昇給を得られないという問題もある。女性管理職の多くが、人事や総務といった間接部門に配置される傾向があり、売上に直結する営業や事業企画といった部門での管理職経験を積む機会が限られている。この結果、同じ管理職でも給与水準に差が生まれてしまうのである。
出産・育児による キャリア中断の影響
女性の年収が変わらない最も大きな要因の一つが、出産・育児によるキャリアの中断である。日本では、第一子出産を機に約半数の女性が退職するという統計があり、一度キャリアを中断すると、復職時に元の給与水準を維持することは困難である。
育児休業制度は整備されているものの、休業中は無給または減額された給付金のみとなるため、同世代の男性との収入格差は拡大する一方である。さらに、復職後も時短勤務を選択する女性が多く、フルタイムで働く男性との間で労働時間の差が生まれることも、年収格差の要因となっている。
また、子育て期間中は、残業や出張が困難になることが多く、昇進の機会を逃しやすくなる。これにより、20代で男性と同等だった年収が、30代、40代と年齢を重ねるごとに差が開いていく構造が生まれている。
性別役割分担意識の根強い影響
日本社会に根強く残る「男性は仕事、女性は家庭」という性別役割分担意識も、女性の年収が上がりにくい要因となっている。多くの企業で、無意識のうちに「女性は結婚や出産で辞める可能性が高い」という偏見を持たれ、重要なプロジェクトや昇進コースから外されることがある。
この問題は、統計的差別と呼ばれる現象でもある。個人の能力や意欲に関係なく、女性というカテゴリーに属することによって、キャリア形成の機会が制限されてしまうのである。こうした差別は、しばしば無意識に行われるため、被害者も加害者も気づかないうちに格差が拡大していく。
グローバル視点で見る日本の給与格差|世界との比較で浮かび上がる問題

日本の給与格差問題を正しく理解するためには、国際的な視点からの分析も必要である。男女間の賃金格差は韓国が34.6%、日本が24.5%。欧米諸国が10%台なのに対して2国だけ突出しているという事実は、日本の問題が他の先進国と比べても深刻であることを示している。
北欧モデルから学ぶ格差解消の可能性
ここで北欧諸国の取り組みを見てみよう。スウェーデンやノルウェーでは、男女間の賃金格差が10%以下に抑えられており、女性の社会進出も進んでいる。これらの国では、育児休業を男女で分担することが法的に義務づけられており、男性も積極的に育児に参加する文化が根付いている。
また、公的な保育制度が充実しており、女性が仕事を続けやすい環境が整備されている。これらの取り組みにより、女性のキャリア継続率が高く、管理職に占める女性の割合も日本より大幅に高い水準となっている。
技術革新と働き方の変化|デジタル時代の新たな格差
近年のデジタル技術の進歩は、労働市場に大きな変化をもたらしている。AI、IoT、ビッグデータなどの技術が普及する中で、新たな職種が生まれる一方で、従来の仕事が自動化により淘汰される可能性も高まっている。
リモートワークの普及がもたらす影響
コロナ禍を契機として普及したリモートワークは、働き方に大きな変化をもたらした。通勤時間の削減、ワークライフバランスの改善など、多くのメリットがある一方で、新たな格差を生む要因ともなっている。
リモートワークに適応できる職種とできない職種の間で、働き方の自由度に大きな差が生まれている。IT関連の職種や事務職などは在宅勤務が可能だが、製造業、サービス業、医療・介護などの現場系の職種では、リモートワークは困難である。





















































































