勲さん:はい。もともと築100年とかの古い3軒長屋だったんですよ。老朽化で他のお店が立ち退くことになったら、うちだけ建っている訳にもいかないし、ということで大家さんに相談したら譲ってくれることになったんです。
ーーーー今のお店はパッと見たら、個人宅にしか見えないので本当に隠れ家ですよね!
勲さん:最近東京では、隠れ家レストランやバーが多いので、そういった流行も積極的に取り入れています。うちは今年(2024年)で、創業27年目になるのですが、ちょっとずつ変化に対応していかないと置いてかれるなぁと思って、日々研究しています。あと、料理の流行も移り変わるので、イタリアンが流行った後はバルブーム、そして韓国ブームと、「葵舎」のメニューにも反映しています。アジアン料理だけはちょっと苦手なので、素材として使うことが多いですね。
ーーーー仕事をする上で大切にしていることはなんですか?
料理の味はもちろんですが、何よりも“人”を大切にしています。お店を始めた時は僕らと同じくらいの方たちが来てくれて、次にその子供たち世代、さらに僕らの息子世代と、世代交代しながら通い続けてくれるのが嬉しいですね。俳優の早乙女太一君も、役者時代の兄弟子がお父さんで、お母さんは僕と同級生。同じ中学校に通って劇団にも一緒に通っていました。なので、太一君はお母さんのお腹にいる時からうちに通っていました。そのつながりから、去年「人生最高レストラン」で紹介してくれたんです。
「ビストロ葵舎」は、お客様同士や勲さん・きっきさんとの会話が絶えない、楽しい雰囲気が魅力。何よりも“人”を大切にしているということが伝わってきます。
仕事でモチベーションが下がってしまった時はどうしていますか?
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勲さん:僕が苦手なところを奥さんが補ってくれて、奥さんの苦手な事は僕が補う。僕の気分がのってないな、という時にはケツを叩いてくれます。僕1人だったら、27年もお店を続けられなかったです。
きっきさん:私はモチベーションが下がることはないですね。仕事が大好きなので。二日酔い以外は一切ないです!(笑)
ーーーー夫婦で円満に働くコツは何かあるのでしょうか?
きっきさん:いい意味での我慢と、いい意味での諦め(笑)。
勲さん:求めすぎないことかな。休日に一緒に出掛けても目的地に着いたら、お互い勝手に動いています。お互いの買い物には干渉しない。自分の思ったようになって欲しいと思っても、育った環境も性別も人格も違うのでどこまでいっても無理ですし。17歳で出会ってから33年。家でも店でも毎日戦ってますよ(笑)。お互いに言い合えるからやっていけるんです。あとは、売り上げが上がらない時はどうしてもピリピリしちゃうから、気分転換も兼ねてWワークをしています。僕は昼間、別の飲食店で週3回働いて、奥さんも週1回、別のお店に働きに行っています。収入にもなるし、他の店で得られる刺激や新しい発見があるので、良いですね。
ーーーー仕事と家庭を両立させるために行なっていることはありますか?
家庭のために仕事をする、ということです。奥さんと僕、お互い共通しているのは子供が優先順位1位ということ。週1回は、家族4人でご飯食べるようにしています。家族の時間をしっかり取る。そのために仕事を頑張っていますね。
ーーーー今後の目標はありますか?
2人の子供も巣立ったので、そろそろ終活も考え出していますが……。とはいえ、今後も毎日お店でお客さんと楽しく過ごせるように頑張りたいです!
ーーーー今これから飲食店を始めたい方にアドバイスをお願いします
これから飲食店をやりたい人は、付加価値のあるお店をつくることが大事だと思います。飲食店を始めるハードルは低いけど、よっぽど需要がないとラーメン屋・焼肉屋以外は、すぐ潰れてしまいます。若い人の飲食離れが激しいですから。例えば、鰻屋は「奮発して良い鰻を食べた!」という気持ちになれるから強いと思います。お客様1人1人にとって“特別なもの”が重要視される世の中なので、付加価値について考えることや、時代の変化に柔軟に対応していくことも必要ですね。
ーーーーありがとうございました!
言い合いつつも、お互いを尊重しているからこそできる「夫婦で働く」仕事。夫婦間で「家庭のために仕事をする」という共通認識があることが、共に長く仕事を続ける秘訣なのかもしれません。また、お店を長く続けるためには、常に世の中の動きにアンテナを張って、アップデートしていくことも非常に重要だと感じました。そして「ビストロ葵舎」の料理はどれも本当に美味しいのでオススメです!ぜひ予約して食べに行ってみてくださいね。
ライター紹介
フクザワマキコ
動物と美味しいものとお酒をこよなく愛すライター。編集プロダクション、某コーヒーチェーン店のストアマネージャーを経てフリーランスに。Yahooニュース記事をはじめ、地域ニュース、キャッチコピー、プレスリリース記事、コラムのライティング等、様々なフィールドで執筆活動を展開中。
【ALL WORK編集部では、にっぽん全国”シゴトのある風景”では、全国各地のライターさんを募集しています】
全国各地、今日もさまざまな場所で、一生懸命に生き、一生懸命に仕事をする人をクローズアップしてご紹介する「にっぽん全国”シゴトのある風景”」では、お住まいのエリアにおいての取材から執筆までが可能なフリーライターさんを募集しています。ライティングの経験は問いません。「いつも一生懸命で輝いているあの人を取材してみたい」と思ったら是非取材をしていただき、編集部まで原稿をお寄せください。ご応募についてはこちらをクリックしてお申し込みをお願いいたします。追って詳細を編集部よりご連絡いたします。
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