今回の「にっぽん全国”シゴトのある風景”」では、九州にわずか三ヶ所しかない男性不妊専門クリニックを経営する横山裕クリニック院長・横山 裕(よこやま ひろし)さんにインタビューを実施しました。「男性不妊を一般的な認識として広めたい」という想いで、専門クリニックを開業された横山さん。一方で、音楽をこよなく愛し、自ら音楽バーを経営しライブ活動も行うという異色のキャリアを持つ方です。今回のインタビューでは、仕事だけでなく、趣味も全力で楽しむ横山さんに、仕事と趣味を両立させるコツや、その熱い想いについてじっくりとお話を伺いました。
横山 裕(よこやま ひろし)さん
◾️プロフィール
泌尿器科医・超音波専門医。1994年に医師国家試験に合格し、泌尿器科医として30年のキャリアを持つ。早くから超音波診断(エコー検査)に関心を持ち、泌尿器科専門医の中では珍しい超音波専門医を取得。現在、九州でも数少ない男性不妊診療専門クリニックの院長を務め、博多駅エリアの一般泌尿器科診療にも対応。痛みや体の負担を最小限に抑えた検査・治療を心がけ、生殖医療と泌尿器科診療の発展に尽力している。

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家族との時間も大切に——開業医としての一日のスケジュール
――― 開業医としての一日のスケジュールについて教えてください。
そうですね、私は2児の父でもあるので、毎朝の子どもたちの送迎から一日が始まります。勤務医時代は、朝早く出勤し、家族が寝静まった頃に帰宅する という忙しい毎日でしたが、開業してからは家族との時間も自分の時間も大切にできるようになりました。
――― 開業してから、ご家族との時間がしっかり取れるようになったんですね。
はい、開業医は責任が大きい分、スケジュールを自分で調整できるので、仕事とプライベートのバランス を取りやすいですね。
火曜~金曜のスケジュール
・7:30 子どもたちを学校へ送る
・8:30 クリニック到着、その後準備
・9:45~13:00 診療開始(外来または手術)
午後のスケジュール
・14:45~18:00 午後の診療(外来のみ)
・~19:30 カルテ整理や経理処理(特に月初・月末はレセプトチェック)
・研究会や講演会に参加することもある
――― 医療に携わりながらも、学び続ける姿勢が素晴らしいですね。診療内容についても教えてください。
もちろんです。私は男性不妊症の診療を専門にしており、スケジュールによって業務内容も異なります。
診療内容について
- 火曜・土曜:外来のみ
- 水・木・金:男性不妊症の手術(週2〜3件)
――― 忙しい毎日ですが、開業して良かったと思うことは何ですか?
やはり、家族との時間を大切にできることですね。以前は仕事中心の生活でしたが、今は子どもとの時間や趣味の音楽を楽しむ時間も持てるようになりました。もちろん、開業医としての責任は大きいですが、その分自分のペースで働けるやりがいも感じています。
「計画していたわけではなく、気づいたら開業していた」——男性不妊専門医が歩んだ道と、開業医としての挑戦
――― まずは、開業に至った経緯についてお聞かせください。
そうですね、実は実家がもともと泌尿器科の病院を経営していたことがきっかけで、自然とこの道に進みました。医師としてキャリアを積む中で、九州のいくつかの病院で男性不妊外来を担当するようになったのですが、ある病院で勤務していた際に男性不妊の重要性を強く実感したんです。
――― そこから、男性不妊外来を専門にするようになったのですね。
はい、男性不妊は非常にデリケートな分野ですが、やりがいを感じるようになりました。ただ、開業については特に計画していたわけではなく、気づいたらこの道に進んでいたという感じです。もともと 研究職の方が向いているのではと考えていたのですが、いつの間にか開業していましたね。
――― 開業して良かったと感じることは何でしょうか?
趣味を楽しむ時間が増えたことですね。私は音楽が大好きで、ギターやドラム、ベースなどを演奏するのですが、今ではほぼ毎日練習する時間を作れています。仕事とのバランスを取りながら、自分の好きなことも大切にできるというのは、開業して良かったと実感するポイントのひとつです。
――― 逆に、大変だったことはありますか?
やはり経営について考えなければならないという点ですね。どんなに理想を掲げても、事業として成立させなければ続けていくことはできません。医師としての診療はもちろんですが、経営者としての視点 も常に持つ必要があります。
――― 医療に携わりながら経営のことも考えるのは、簡単なことではなさそうですね。
そうですね。さらに、私は子どもや妻、そしてスタッフなど支えるべき大切な人たちもいます。開業医としての責任は大きく、プレッシャーを感じることもありますが、趣味の音楽を楽しむことでリフレッシュし、うまくバランスを取るようにしています。そうすることで、仕事にもより前向きに取り組めると感じていますね。
仕事と趣味、プライベートのバランスを大切に——開業医としてのライフスタイル
――― 忙しい医師の仕事と、趣味やプライベートをどのように両立されていますか?
そうですね、私は音楽が大好きで、宮崎では音楽バーの経営もしています。週末にはライブを開催することもあり、ほぼ毎日ギターを弾いています。音楽は自分にとって欠かせない存在ですね。
――― 仕事と趣味、どちらもしっかり両立されているのですね。
はい、開業医だからこそ、自分で時間をコントロールできるというのは大きなポイントですね。診療や経営の仕事はもちろん忙しいですが、スケジュールを調整しながら、趣味やプライベートの時間をしっかり確保できるようにしています。
――― 忙しい日々の中でも、趣味の時間を大切にされているのですね。
そうですね。好きなことに没頭できる時間があることで、仕事にもより前向きに取り組めるんです。医師としての責任は大きいですが、自分の時間を大切にすることが、結果的に良い仕事につながると思っています。
ストレスとの向き合い方——趣味を仕事のモチベーションに
――― ストレスを感じることはありますか?また、その解消法として趣味はどのように役立っていますか?
そうですね、やはりストレスを感じることはあります。特に、経営が思うようにいかないとき はプレッシャーも大きく、ストレスにつながることがありますね。
――― 経営となると、診療とはまた違うプレッシャーがありますよね。
そうなんです。そんなときに、気分転換になるのが、お酒と音楽です。ですが、実は趣味がストレスになることもあるんですよ。例えば、私が経営しているミュージックバーですが、ライブイベントの企画などもあるので、ただ楽しむだけではなく、考えなければならないことも多いんです。
――― 趣味がストレスになることもあるとは意外ですね。でも、それ以上にやりがいを感じていらっしゃるのでしょうか?
はい、「やりたいことを突き詰められる環境がある」 というのは、大きなモチベーションになっています。音楽バーの経営を通じて、自分の好きなことに関われることが、結果的に前向きに仕事に取り組むエネルギーにもなっているんです。仕事と趣味のバランスをうまく取ることで、ストレスとも上手に向き合っていますね。
「仕事=やりがい」じゃなくていい。自分に合ったスタイルが充実した毎日をつくる
――― 仕事とプライベートの両立を目指す方へ、アドバイスをお願いします。
私は、無理に仕事を楽しもうとか、やりがいを持たなければならないとは思っていません。最近は「好きなことを仕事に」という考え方が広まっていますが、それが全てではないと思っています。
――― 「好きなことを仕事に」という風潮がありますが、それが合わない人もいますよね。
そうですね。仕事が楽しい人は仕事を楽しめばいい し、趣味が楽しい人は趣味をモチベーションにして仕事を頑張ればいい。どちらが正解というわけではなく、大切なのは自分に合ったスタイルを見つけること だと思います。
――― それぞれの価値観に合った働き方をすることが、結果的に充実した毎日につながるということでしょうか?
その通りです。自分にとって心地よい働き方や生き方を見つけることが、結果的に人生の充実につながるのではないでしょうか。無理に仕事を楽しもうとするのではなく、自分にとって何が大切かを知り、それを大事にできる環境をつくることが、一番の理想だと思います。
対面インタビューを通して感じた、横山さんの魅力
今回のインタビューは対面での取材でしたが、横山さんはとても気さくで話しやすい方でした。インタビューの中では、ご自身の想いや考えを素直な言葉で語ってくださり、とても印象に残りました。
不妊治療はデリケートな問題ですが、横山先生のような温かく親しみやすい方なら、きっと患者さんも安心して通うことができるだろうと感じます。
また、私はこれまで「仕事は一生懸命にやらなければならないもの」という固定観念を持っていましたが、横山さんのお話を聞くうちに、その考えが少し変わりました。
「仕事が楽しい人は仕事を楽しめばいいし、趣味をモチベーションにして頑張るのもいい」 という言葉がとても印象に残り、自分に合った働き方や考え方があっていいのだ と、肩の力が抜けた気がします。
横山さんは、自分が 「ワクワクすること」 を突き詰め、それを楽しみながら語る姿がとても魅力的で、その姿に私自身も希望を与えられました。
横山裕クリニック
博多駅から直結という アクセスの良さから、遠方からの受診もしやすい環境。院内は白を基調とした清潔感のある空間で、待合室から診察室までリラックスして過ごせる設計になっています。
診療では超音波検査、尿検査、各種血液検査に対応 し、日帰り手術も実施。患者さん一人ひとりに寄り添った医療を提供しているそうです。
また、「不妊は決して女性だけの問題ではなく、原因の約半分は男性にもある」 という事実を広めたいと考えている横山さん。男性不妊の重要性を社会に浸透させることはもちろん、若い泌尿器科医にもこの分野に関心を持ってもらい、より多くの専門医が育つことを願いながら日々診療に取り組んでいる そうです。
横山裕クリニック
診療科目:泌尿器科 / 男性不妊治療外科
診療内容:泌尿器科・男性不妊治療・男性更年期障害・ED治療
住 所:福岡県福岡市博多区博多駅中央街1-1 新幹線博多ビル5階
アクセス
- JR鹿児島本線 博多駅 徒歩1分(筑紫口よりすぐ)
- 福岡市地下鉄空港線 博多駅 徒歩1分
受付時間
- 初診:午前 10:00 – 12:30 / 午後 15:00 – 17:30
- 再診:午前 10:00 – 12:45 / 午後 15:00 – 17:40
休診日:日曜・月曜
横山さんが経営するミュージックバー「Music Bar Jack-o’-Lantern」
宮崎県都城市牟田町にある 「Music Bar Jack-o’-Lantern」 は、音楽好きが集まるアットホームなミュージックバー。
横山さんは開業医としての顔を持ちながら、週末にはこちらを訪れ ミュージックバーの店長としても活躍されています。店内には カラオケ設備もあり、音楽を思い切り楽しめる空間となっています。
また、月に数回 ライブコンサートを開催しており、生演奏の迫力あるステージを楽しめるのも魅力のひとつ。音楽とともに特別な時間を過ごせる場所です。
「Music Bar Jack-o’-Lantern」instagram
すずかん
福岡県福岡市出身。フリーライター兼シナリオライターとして活動中。趣味はカフェ巡りやハンドメイド、動画編集。地元・福岡をこよなく愛し、福岡で働く魅力や多様な働き方を発信していきたいと考えています!