
原油価格の高騰やエネルギー情勢の不安定化により、私たち庶民の生活を直撃しているのがガソリン価格の上昇です。特に非難を浴びているのが、ガソリン税に上乗せされている「暫定税率」の問題です。2025年中の廃止が期待されていましたが、その実現が危ぶまれている現状について、詳しく解説していきます。
ガソリン税と暫定税率の仕組み |なぜこんなに高いの?
まず、皆さんが日々目にするガソリン価格の内訳について説明しましょう。ガソリンには、実にたくさんの税金が課されています。基本となる揮発油税(本則:1リットルあたり24.3円)に加えて、地方揮発油税(本則:1リットルあたり4.4円)が課されています。
これだけではありません。問題となっているのが「暫定税率」です。これは1974年の石油危機後に導入された臨時的な増税措置で、本来の税率に約2.5倍の上乗せをしているのです。具体的には、1リットルあたり約25円の追加負担となっています。
つまり、私たちが給油所で支払う金額の約4割は税金なのです。例えば、ガソリン1リットル170円の場合、実に約68円が税金として徴収されているということになります。当初は臨時的な措置のはずが、もはや半世紀近く続いているこの状況は、まさに「暫定」の名に値しないと言えますね。
ガソリン価格の変動と地域差 |なぜ場所によって値段が違うの?

ガソリン価格の推移を見てみると、この10年間で大きな変動を経験しています。2014年には1リットルあたり170円前後だった価格が、2020年のコロナ禍では110円台まで下落。しかし、2022年のウクライナ危機以降は180円を超える水準まで上昇し、多くの家計を圧迫しています。
興味深いのは、同じ日本国内でも地域によって価格差が生じている点です。例えば、2024年2月現在、都道府県別の価格差は1リットルあたり最大で20円以上にもなっています。この差が生まれる主な要因を調べました。
- 輸送コストの違い
石油精製所から給油所までの距離により、輸送費用が変動します。特に離島や山間部では、この影響が顕著です。 - 地域の競争環境
給油所の数や、大手チェーンとローカル事業者の競争状況により、価格設定が変わってきます。 - 土地代や人件費の違い
都市部では地代や人件費が高く、これらのコストが価格に反映されます。
- 需要と供給のバランス
人口密度や自動車保有率により、地域ごとの需要量が異なり、これが価格に影響を与えます。
暫定税率廃止の見通し |実現への道のりは?
当初、国民民主党が2025年中の暫定税率廃止を目指し、自民党、公明党との3党合意まで達成したものの、2025年中の実現には厳しい状況に直面しています。状況としては、まず、暫定税率による税収は年間約2.5兆円にも上ります。この巨額の税収を失うことへの懸念が、政府・与党内で強まっています。特に地方自治体にとって、この税収は道路整備や公共交通機関の維持に不可欠な財源となっています。
代替財源の確保も大きな課題です。電気自動車の普及により、ガソリン税収は今後さらに減少することが予想されます。このため、新たな自動車関連税制の検討も必要とされていますが、具体的な方向性はまだ見えていません。
現実的な見通しとしては、段階的な引き下げが検討される可能性が高いと考えられます。例えば、5年程度の期間をかけて徐々に税率を下げていく、または特定の条件下でのみ税率を引き下げるといった選択肢が予想されます。
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