
「マイホームを持つことが人生の成功」—この考え方は、長らく日本人の価値観の中心にありました。しかし、いま、この「マイホーム神話」が大きく揺らいでいます。
2023年以降、日本では急激な物価上昇と円安が続き、多くの家庭の家計を圧迫しています。そんな中で、住宅ローンの支払いに苦しみ、泣く泣く家を手放す人々のニュースを目にすることが増えました。
30代の友人が「マイホームを買ったけれど、維持できなくなって売却した」という話を聞いて衝撃を受けたことがあります。夢だったはずのマイホームが、なぜ重荷に変わってしまうのでしょうか?
本記事では、現在の日本経済の状況を踏まえながら、本当にマイホームを持つべきなのか、その是非について徹底的に考察していきたいと思います。住宅ローン破綻の実態や、これからの時代に合った住まい方についても探っていきましょう。
現代日本の経済状況とマイホーム購入のリスク
続く物価高と実質賃金の低下
2023年から続く物価高騰は、2025年の今も日本経済の大きな課題となっています。総務省の統計によれば、2025年2月の消費者物価指数は2020年比で15%以上上昇しています。特に、食料品や光熱費などの生活必需品の価格上昇が顕著で、多くの家庭の家計を直撃しています。
一方で、実質賃金は伸び悩んでいます。名目賃金は徐々に上昇傾向にあるものの、物価上昇率を考慮した実質賃金は依然としてマイナス成長が続いています。つまり、給料は上がっても、物価の上昇に追いついていないため、実質的な購買力は低下しているのです。
このような状況下では、毎月一定額の住宅ローンを返済し続けることが、以前よりも大きな負担となります。特に、住宅ローンの返済額が手取り収入の30%を超えると、生活が圧迫されるリスクが高まるとされています。
円安による建築資材の高騰
続く円安も住宅市場に大きな影響を与えています。円安により輸入建材の価格が上昇し、2021年と比較して住宅建築コストは約20%上昇しています。これは新築住宅の価格上昇に直結し、同じ品質の家を建てるのに、以前よりも多くの費用がかかるのです。
例えば、東京都内で一般的な3LDKの新築戸建てを購入する場合、2020年には約4500万円程度だったものが、2025年には5500万円前後まで上昇しているケースも少なくありません。住宅価格の上昇は、必然的に住宅ローンの借入額増加につながり、毎月の返済負担を重くします。
金利上昇による住宅ローン返済額の増加
さらに、2023年以降の金融政策転換により、長らく続いた超低金利時代が終わりを迎えつつあります。変動金利型住宅ローンの金利は徐々に上昇し、従来0.5%程度だった金利が、現在では1.5%前後まで上昇しているケースが増えています。
この金利上昇が住宅ローン返済に与える影響は大きく、例えば3500万円を35年ローンで借りた場合、金利が0.5%から1.5%に上昇すると、毎月の返済額は約9万円から約10.5万円へと、年間にして約18万円もの負担増となります。
金利上昇が今後も続けば、変動金利で住宅ローンを組んだ人々の家計はさらに圧迫されることになるでしょう。
雇用の不安定化と失業リスク
日本の雇用環境も大きく変化しています。終身雇用制度は実質的に崩壊し、多くの企業がリストラや早期退職制度を導入しています。また、デジタル化やAIの発展により、これまで安定していた職種も将来的には代替される可能性があります。
このような雇用環境の変化は、「30年以上にわたって安定した収入を得続ける」という住宅ローン返済の前提を揺るがします。一度失業すると、再就職時に同等の収入を得られるとは限らず、住宅ローンの返済が困難になるケースが増えています。
住宅ローン破綻の実態|なぜ家を手放す人が増えているのか
住宅ローン返済困難者の増加傾向
国土交通省の調査によれば、住宅ローンの返済が困難になり、不動産会社などに任意売却を相談するケースが2022年以降増加傾向にあります。2024年には前年比で約15%増加し、この傾向は2025年に入っても続いています。
特に顕著なのは、購入後3年から7年程度の比較的新しい住宅の売却相談が増えていることです。これは、住宅購入時には返済可能だと思われた住宅ローンが、経済環境の変化によって負担に変わってしまったケースが多いことを示しています。
住宅ローン破綻に至る典型的なパターン
住宅ローン返済が困難になる典型的なパターンにはいくつかあります。
1つ目は「収入減少型」です。収入者の失業や転職、病気などにより収入が大幅に減少し、住宅ローンの返済が困難になるケースです。特に、住宅ローンの返済額が手取り収入の30%を超えるような計画で購入した場合、少しの収入減少でも返済が厳しくなります。
2つ目は「支出増加型」です。子どもの教育費増加や予期せぬ医療費、親の介護費用など、当初の家計計画では想定していなかった支出が増え、住宅ローン返済に回す資金が不足するケースです。また、固定資産税や修繕費など、住宅保有に関連する諸経費の負担も大きく、これらを過小評価していたケースも多いです。
3つ目は「金利上昇型」です。変動金利で住宅ローンを組んだ場合、金利上昇により返済額が増加し、家計を圧迫するケースです。特に返済期間の長いローンでは、わずかな金利上昇でも総返済額に大きな影響を与えます。
実際の破綻事例から学ぶ
ある35歳の会社員Aさんは、2020年に都内の新築マンションを4500万円で購入しました。当時は年収700万円で、住宅ローンの月々の返済額は12万円(変動金利0.6%、35年ローン)でした。手取り収入に対する返済比率は約25%で、無理のない計画だと思われました。
しかし、2023年に勤務先の業績悪化により基本給が15%カットされ、さらに住宅ローンの金利も1.4%まで上昇。月々の返済額は14万円に増加し、収入減少と相まって返済比率は35%を超えるようになりました。
さらに、2024年に第二子が生まれ、教育費や生活費の増加も重なり、貯蓄を切り崩しながらの生活を余儀なくされました。最終的に、2025年初めにマンションを売却。購入時よりも500万円安い4000万円での売却となり、ローン残債との差額は貯蓄から補填せざるを得なくなりました。
このケースは、①収入の減少、②金利上昇、③予期せぬ支出増加という三重苦が重なった典型的な例です。特に問題なのは、住宅購入時には想定していなかった環境変化に対する「バッファ(余裕)」が不足していたことです。
売却時の損失と残債問題
住宅ローン返済が困難になった場合、多くの人は住宅の売却を検討します。しかし、特に購入から短期間の場合、売却価格が購入時よりも低くなることが多く、ローン残債との差額(いわゆる「持ち出し」)が発生するケースが少なくありません。
不動産の減価償却は特に建物部分で急速に進みます。新築から5年程度で建物価値は半分以下になるとも言われており、土地価格が上昇している地域でない限り、購入時の価格で売却することは難しいのが現実です。
さらに、売却にかかる仲介手数料や抵当権抹消費用なども考慮すると、実質的な損失はさらに大きくなります。このような「出口戦略」の難しさも、マイホーム購入を慎重に考えるべき理由の一つです。

マイホーム神話を再考する|今の時代に合った住まい方とは
「所有」から「利用」へのパラダイムシフト
現代の日本では、「家を所有する」ことよりも「快適な住環境を確保する」ことに価値観がシフトしつつあります。特に若い世代を中心に、住宅の「所有」にこだわらず、自分のライフスタイルに合わせて「利用」するという考え方が広がっています。
実際、国土交通省の調査によれば、「いずれは住宅を購入したい」と考える20〜30代の割合は、2010年の約75%から2023年には約60%まで減少しています。これは単に経済的理由だけでなく、価値観の変化も影響していると考えられます。
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2- 投稿者: ALL WORK編集部
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