今回の「にっぽん全国”シゴトのある風景”」では、株式会社 EMON entertainment 代表・山下直樹(やました なおき)さんにインタビューを実施しました。山下さんは、福岡ソフトバンクホークス・本多雄一コーチのマネージャー を務める傍ら、幅広いコンサルティング事業を展開。「仕事を通じて関わるすべての人を喜ばせたい」という情熱を持ち、日々活動されています。
今回のインタビューでは、そんな“人を喜ばせること” を何よりも大切にする山下さん に、スタッフとのコミュニケーションの秘訣や、仕事にかける想い についてじっくりとお話を伺いました。
山下 直樹(やました なおき)さん ◾️プロフィール 鹿児島出身、33歳。学生時代は野球に打ち込み、大学卒業後にブライダル業界へ。25歳でグループ最年少支配人に就任し、2店舗の責任者を歴任。その後、美容業界に転身し、マネージャーとして4店舗のオープニングに携わる。さらなる成長を求め、マーケティング・ITリテラシーを磨くためLINEに1年間勤務。2024年に株式会社EMON entertainmentを設立し、マネジメント事業(福岡ソフトバンクホークス本多雄一氏のマネジメント・ファンクラブ運営)、コンサルティング事業(企業の外部顧問・事業責任者)、不動産・イベント事業を展開。「喜びの総量を増やす」をモットーに、多方面で価値を創造し続けている。 インスタグラム
価値観を共有し、信頼を築く——より良いチームをつくるためのコミュニケーションと配慮
―――お仕事を進める上で、どのようなコミュニケーションスタイルを大切にされていますか?
ありがたいことに、当社では求人募集をせずとも「一緒に働きたい」と言ってくださる方が多くて、そうした方々とお仕事をご一緒できるのは本当に嬉しいことだなと思っています。だからこそ、会社として大切にしている価値観をしっかり共有し、共感してくださる方と一緒に働くことを大事にしていますね。
―――共感できる方と働くことで、チームの一体感も生まれそうですね。
そうですね。やっぱり、価値観を共有できることってすごく大事で、それがあるからこそ、スムーズなコミュニケーションにつながるんだと思います。そのために、定期的なフィードバックの機会を設けていて、共通認識を持ち続けられるようにしています。特に、遠方で働くスタッフもいるので、物理的な距離に関係なく意見を交わせる環境づくりは意識していますね。
―――オンラインのやりとりでは、すれ違いも起こりやすいですよね。
そうなんです。だからこそ、「ちゃんと話せている」とお互いに感じられることが大事だなと。言葉だけでは伝わらないこともありますし、信頼関係を築くこともすごく大切にしています。どうしても言葉が足りないことってありますよね。でも、そういうときに「この背景があっての発言かもしれないな」と、お互いに想像して補い合える関係が理想かなと。多少言葉のすれ違いがあっても、「あの人はこういう考え方をする人だから」と分かり合える関係が築けたらいいなと思っています。
「喜びの総量を増やす」——信頼と成長を生むチームマネジメント
―――周囲の方々への配慮で、特に心がけていることはありますか?
そうですね、当社では「喜びの総量」を最も大切な目標に掲げています。これは、私たち一人ひとりが成長すればするほど、会社全体の喜びの総量が増えて、それが結果として顧客満足や売上といった形にも表れると考えているんです。
―――なるほど。会社全体の成長が、喜びにつながるという考え方なんですね。
そうなんです。だからこそ、日々の業務をただこなすのではなく、相手の考えを尊重し、信頼関係を築くことを意識しています。やっぱり、お互いに気持ちよく働ける環境があると、自然とチームの雰囲気も良くなりますし、結果的により良い仕事ができるんですよね。この良い循環を作ることが、最終的に「喜びの総量」を増やすことにもつながるのかなと思っています。
―――確かに、働く環境が良いと、それだけで仕事のモチベーションも変わりますよね。
そうですよね。だからこそ、日頃から感謝の言葉を伝えることも大切にしています。やっぱり、今の自分があるのはスタッフのおかげですし、彼らがいてこそ会社が成り立っているので、その気持ちはしっかりと言葉にして伝えるようにしています。
―――感謝を伝えることって、シンプルですがとても大事ですよね。
本当にそう思います。スタッフには、それぞれの個性や特技を活かしながら、会社を通じてやりがいを感じたり、仕事の楽しさを見出してほしいと考えているんです。ただ仕事をこなすだけではなく、「この仕事が楽しい」と思えることが、最終的には会社全体の成長にもつながると思っています。
―――スタッフのやりがいや楽しさを大事にされているのが伝わってきます。
ありがとうございます。やっぱり、誰かが無理をして働いている環境では、良い仕事は生まれないと思うので。スタッフ一人ひとりが「ここで働いてよかった」と思えるような環境を作ることが、結果的にチーム全体の成長につながるんじゃないかなと考えていますね。
本多雄一さんの魅力を届ける——ファン目線でつくるマネジメントと「喜びの総量」を増やす挑戦
―――本多雄一さんのマネジメント業務において、特に意識されていることは何でしょうか?
そうですね、会社のビジョンである「喜びの総量を増やす」ということにつながるのですが、実は私自身が本多さんのファンだったんです。なので、マネジメントというよりは、自分が抱いた感情をそのまま形にしただけという感覚に近いですね。
―――ご自身がファンだったからこそ、実現できた部分も多いのではないでしょうか?
そうかもしれません。ソフトバンクを引退された本多さんと、コミュニケーションをとりたいファンの目線に立ってファンクラブを立ち上げたのですが、引退が急だったこともあり、ファンの方々が不完全燃焼のままだったんですよね。そこで、ファンクラブがあれば憩いの場となり、本多さんがファンを喜ばせることができると考えました。ファンと本多さんをつなぐ架け橋になれたら、という想いで取り組んでいます。
―――ファンクラブの運営だけでなく、企画にも力を入れているんですね。
はい、ただファンクラブを作るだけではなく、「何をしたら本多さんらしさが伝わるのか?ファンが本当に喜ぶことは何か?」を考えながら企画をしています。本多さんご本人が野球に集中できる環境を整えながら、その中でファンとつながる場をどう運営するかを常に意識しているという感じですね。
―――また、その中で学びになったことや印象深いエピソードがあればぜひお聞かせください。
そうですね、「喜びの総量を増やす」という目標を掲げて活動していますが、実際にそれを実現するのは本当に難しいなと感じています。やはり、人それぞれ喜びの形は違いますし、誰かの不幸の上に喜びをつくってはいけないと常に意識しています。理想は、関わるすべての人が喜んでもらえること。でも、それを実現するためには、誰かの犠牲の上に成り立たないようなリスクヘッジが必要なんですよね。そう考えると、シンプルに「喜びを増やす」と言っても、すごく奥深くて難しいなと感じています。
―――喜びを生み出すために、バランスを考えることも大切なんですね。
そうなんです。だからこそ、どうすれば本多さんらしさが伝わるのか、ファンの皆さんが本当に喜ぶことは何かをしっかり考えながら、企画や運営を行っています。
そして、もう一つ大きな学びとして、本多さんの人間的な魅力を間近で感じることができたのは、とても貴重な経験でした。この方の良さをもっと多くの人に知ってもらいたい、野球のフィールドだけでなく、経営やビジネスの場面でも活かせる考え方を持っていると感じたんです。そうした思いから、講演活動なども行い、本多さんの人柄や価値観を伝える機会をつくるようにしています。
“牽引する” ではなく “導く”——山下直樹が語る、理想のリーダー像
―――山下さんが考える「理想のリーダー像」とは、どのようなものですか?
リーダーというと「牽引する」イメージが強いですが、私の考えるリーダー像は少し異なります。どちらかというと、同じビジョンを持つ仲間が集まり、共通の目標に向かって進めるように導く存在 でありたいと思っています。
―――なるほど、“引っ張る” というより “導く” というイメージですね。
はい、まさにそうですね。そのために、チームの共通認識を明確にし、それを振り返る機会をつくることで、成長のきっかけを生み出すことを大切にしています。ただ指示を出すのではなく、メンバーが主体的に考え、行動できる環境をつくることが大事だと思っていて。
―――確かに、自分で考えられる環境があると、より成長しやすいですよね。
そうなんです。だからこそ、自由度を与えることもリーダーの責任 だと思っています。チーム全体に思いを浸透させながら、一人ひとりが自発的に動ける環境を整えることが、私にとっての理想のリーダー像ですね。
―――その理想に近づくために、日々意識されていることがあれば教えてください。
意識しているのは、物事を断片的に見ないことですね。一喜一憂せず、目の前の出来事だけで判断しないように心がけています。例えば、スタッフの行動に対して『なぜこうしたのだろう?』と疑問に思うことがあっても、その背景や経緯をまず聞くようにしています。
―――なるほど、表面的な部分だけで判断しないということですね。
はい。スタッフの歴史や背景にも目を向け、自分自身に原因がなかったかも振り返る ようにしています。そのうえで、“ついていきたい” と思われるリーダーを目指したいですね。
―――とても大切な視点ですね。その考え方は、どこからきているのでしょうか?
僕には子どもが二人いるのですが、もし彼らが将来、何か相談をしてきたときに、自分はどう答えるだろう?と考えることがあります。そのときに、自分の答えが『正しい』と思えるかどうか。それを基準に、自分自身の在り方を見つめ直しています。
―――お子さんの存在が、ご自身のリーダーとしての在り方にも影響を与えているんですね。
そうですね。“未来に誇れる自分たち” を目指すこと を大切にしながら、日々意識して行動しています。
失敗するまでやり続けたら、いずれ成功する
―――これまでのキャリアの中で「挑戦してよかった」と強く感じたエピソードを教えていただけますか?
僕は、自分に依頼が来たことは 基本すべて受けるスタンス なんです。新しいことに挑戦することに対して、不安を感じることはほとんどなくて。
―――すべて受けるんですね!それだけ挑戦を重ねてこられたのはすごいですね。
そうですね。今までの経験上、やればなんとかなる という実感があるので、どんなことでもまずはやってみようと思っています。
―――なるほど、“まずはやってみる” という姿勢が大事なんですね。
はい。僕は、失敗するかどうかではなく、日々の行動で結果は決まる と思っていて。だからこそ、成功するまで挑戦し続けることが大切 なんですよね。
―――確かに、続けること自体が成功につながるという考え方ですね。
そうなんです。もちろん、時間がかかることもあるかもしれません。でも、失敗するまでやり続けていたら、いずれ成功する はずだという自信があります。
―――それだけ続ける覚悟があれば、どんなことでも乗り越えられそうですね。
振り返ってみると、どの挑戦もやってよかったと思えるものばかりです。何事も “やってみないとわからない” ので、これからも前向きに挑戦を続けていきたいですね。
―――とても前向きな姿勢ですね!山下さんのこれからの挑戦も楽しみです。
対面インタビューを通して感じた、山下さんの魅力
今回は対面でのインタビューでしたが、山下さんは 仕事への情熱が溢れ、周囲からの信頼も厚い、とても魅力的な方でした。
学生時代から 野球部のキャプテンや応援団長など、リーダーの役割を担うことが多かったそうですが、すべて周囲からの推薦だったとのこと。お話を伺う中でも、その謙虚な姿勢と、人望の厚さがにじみ出ていると感じました。まさに、自然と人が集まる愛されるリーダー像そのものです。
クリエイターに愛される、ジブリのようなコワーキングスペース
今回の取材場所として使わせていただいたのが、山下さんが運営する コワーキングスペース。この空間がまた、とても魅力的でした。
まるで ジブリの世界に入り込んだかのような温かみがあり、クリエイターの方々が多く利用されているそうです。飲食OK、アクセスも良好、そして植物に囲まれた癒しの空間 が広がっています。
特に印象的だったのは、植物がすくすくと育つように設計された照明や環境づくり。山下さんは「植物が生き生きと育つような環境なら、人も生き生きと働けるはず」との想いを込めて、この空間を作り上げたそうです。



さらに、一日利用も可能とのこと!私自身も、ぜひ仕事の場として活用してみたいと思います。
すずかん
福岡県福岡市出身。フリーライター兼シナリオライターとして活動中。趣味はカフェ巡りやハンドメイド、動画編集。地元・福岡をこよなく愛し、福岡で働く魅力や多様な働き方を発信していきたいと考えています!