
がん治療を受ける患者とその家族に、新たな試練が突きつけられています。政府が昨年末に決定した高額療養費制度の限度額引き上げは、多くのがん患者の治療継続に暗い影を落としています。特に子どもを持つがん患者の半数が治療中断を検討せざるを得ない状況に追い込まれているという調査結果の発表は、私たちの医療制度の根幹に関わる重大な問題を提起しています。
医療費負担増がもたらす複合的な影響
現在のがん治療は、手術、抗がん剤治療、放射線治療など、複数の治療法を組み合わせることが一般的です。これらの治療は長期に及ぶことが多く、すでに多くの患者が経済的な負担を感じています。そこに高額療養費の限度額引き上げが加わることで、治療費の負担は一層深刻化することが予想されます。
具体的には、入院費用、通院費用、薬剤費に加え、仕事を続けることが困難になることによる収入減少も重なり、家計を直撃します。特に子育て世代では、教育費や生活費との両立が一層困難になり、治療か生活かの二者択一を迫られる事態も懸念されます。
子育て世代のがん患者が直面する特有の課題
子育て世代のがん患者が直面する問題は、単なる経済的負担にとどまりません。治療費の増加は、子どもの教育費や将来の学費積立にも影響を及ぼします。また、親としての役割を果たせなくなることへの不安や罪悪感も大きな心理的負担となります。
さらに、治療中断を考えざるを得ない状況は、子どもの将来にも大きな影響を与えかねません。親の治療中断は、最悪の場合、子どもの養育環境の急激な変化や、経済的困窮による教育機会の喪失にもつながりかねないのです。
医療制度の持続可能性と社会的影響
高額療養費制度の見直しは、医療制度の持続可能性を確保するための施策として提案されています。しかし、治療を必要とする患者が経済的理由で治療を断念せざるを得ない状況は、かえって社会的コストを増大させる可能性があります。
治療の中断は、症状の悪化や合併症のリスクを高め、結果として医療費の増大を招く可能性があります。また、働き盛りの世代が治療を断念することは、労働力の損失や社会保障費の増加にもつながりかねません。
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