ライフステージの変化やコロナ禍を経て、一歩踏み出し自分らしく働ける「仕事」へ

山田千尋さん

今回は名古屋市を中心に活動されている、産後ケア・バランスボールインストラクターであり、3児の母でもある山田千尋さんに「仕事」についてお話を伺いました!キラキラした笑顔が印象的で、育児に仕事に毎日忙しく飛び回る姿は、まさに働くお母さんたちのロールモデル。以前、別件の取材で山田さんのバランスボールのレッスンを体験させて頂いたことがありましたが、老若男女参加できるプログラムで、赤ちゃんを抱っこしながらできるメニューや認知症予防として脳トレを取れ入れたメニューなど、バランスボール初心者でも楽しみながら身体を動かすことができました。


山田  千尋  さん

◾️プロフィール
石川県金沢市出身、3(4歳・5歳・8)の母。旅行会社から病院へ転職した後、複業を経て個人事業主へ。保育園、インターナショナルプリスクール、名古屋市立小学校トワイライトスクール、名古屋市立児童館、子育て支援センター、名古屋市福祉会館、シニアサークル、働く人向けの職場での出張講座などで講師をつとめる。老若男女問わず、幅広い世代に向けてバランスボールのレッスンやヘルスケアの講座を行なっている。一般社団法人体力メンテナンス協会認定のバランスボールインストラクター・体力指導士・産後指導士・指導士養成講師、産後ケアアンバサダーなどの資格を保有。

山田 千尋さん2
202410月某日、山田千尋さんの仕事場のひとつである、「コノマチ徳川(名古屋市東区・本覚寺で、子育て支援や地域のボランティア活動などをしている任意団体が運営するカフェ等)」で雑談を交えながら、インタビューを行いました。



―― 職はどのようなお仕事をされていたのでしょうか?

山田千尋さん(以下・山):最初は旅行会社です。当時は総合職でバリバリ働いていたのですが、今後結婚して出産もしても仕事を続けたいなと考えた時に、全国転勤は難しいなと思って。とはいえ、異動がない区分の働き方になるとお給料も下がってしまう。じゃあ、居住地の近くで女性でも長く働ける職場と言ったら、公務に関わる仕事だなと思い立ち、石川県の国立大学に転職しました。結婚後は名古屋の病院へ転職しています。

――  病院勤務から、バランスボールのインストラクターになったきっかけはなんだったのでしょうか?

山:転職先で「このまま60歳まで働くぞ!」と考えていた時に、現在の夫と結婚することになり、そのタイミングで石川県から愛知県・名古屋市へ引っ越したんですね。初めての土地で友達もいないし仕事もないし、孤独で。その頃に子供も授かったのですが、まずは、仕事を始めようと思って、最初の子供が9か月くらいの時に名古屋の国立系の病院で働くことになりました。病院の仕事も好きだったので、続けていきたかったのですが、コロナ禍で3人目が産まれた時に、これまでの働き方を見直すことにしました。
コロナ禍は保育園も休園になったり、子どもが熱を出したら仕事も休まなくてはならないので、思うように仕事ができず、モヤモヤしていました。もともと仕事が好きで本当はバリバリ働きたいんです。お子さんがいる上司や、子供関連の急な休みを取ることに理解ある職場の人たちとは言え、申し訳なくて周りに謝ってばかりいました。

山田千尋さん3

仕事・家事・育児の毎日に疲弊、そんな中で出会った「産後ケアクラス」

山:当時は3人の育児にいっぱいいっぱいだし、仕事も子育ても全部が中途半端で。そんな3人目の育休中の時に「産後ケアクラス(※注)」に出会いました。それまで仕事と家事・育児だけの毎日に疲弊していたのですが、参加してみたらすごく元気になって、身体にも心にも変化が現れました。続けていくうちに、バランスボールを辞めたくない気持ちと、レッスンに通うと身体は整うけれど、1回1回で終わってしまう。教える側の立場だったら、手に職にもなるし、自分の引き出しが増えていいなと思って、「育休中に資格をとろう!」と気軽に始めました。

(※注)産後の女性を対象に、心身や育児のサポートを行うクラスのこと。バランスボールエクササイズやセルフケア、マインドケアなど、さまざまなプログラムを通して産後の女性のメンタル面、フィジカル面の回復を目指し、健やかな育児ができるようにサポート。行政や民間、産後ケア施設などで参加できる。

―― 最初は複業という形で始めたのでしょうか?

山:はい。病院の仕事も当時の上司に相談して、月~金の勤務のうち、水曜日を休みにして頂きました。毎週水曜日にバランスボールの仕事をするという形で2年。収入的にも安定するので、病院の仕事もバランスボールも辞めたくなくて。でも、時短勤務とは言え週5日勤務のため、子供が夏休みの時にも仕事に行かなければならない事や、保育園の休園もあってまた仕事ができなくて2年間モヤモヤしていましたね。2021年、子供が小学校に上がったタイミングで思い切って病院を辞め、個人事業主として完全独立しました。今はほぼバランスボールインストラクター1本です。

―― 現在の仕事内容を教えてください。

山:名古屋市の主に北区や東区で、一般のバランスボールのレッスンと、保育園やインターナショナルスクールで取り入れている幼児クラス、小学校に併設されているトワイライトスクール(放課後の小学生向けクラス)、児童館での小学生クラス、産後ケアクラス、福祉会館での60歳以上の人たちのシニアのクラスのほか、子育てサロンが保育園の先生向けに開催している、メンタルヘルス講座で講師をしています

―― 1日のスケジュールを教えてください。

山:6時くらいに起きて、子供を送ってから午前中にバランスボールのレッスン。午後はレッスンの告知などSNSの投稿作りや、営業活動、打ち合わせなどをしています。午後にレッスンが入る時もあります。夕方になったら子共を習い事に連れて行ったり、一緒に遊んだり。20時半~23時には寝ています。

―― 健康的だし、パワフルですね!

山:レッスンの合間に「コノマチ徳川」で開催されている英会話教室に通ったり、美容室に行ったりもしています。バランスボールを始めてから体力がついて、夕方まで同じテンションで動けるようになったんですよ。仕事と育児・家事しかしていなかった頃は、夕方には疲れてもう寝たいと思っていました。今は風邪もひかなくなったし、基本元気です。私自身、中学時代はテニス部に入っていたのですが、それ以降特に運動をしてこなかったので、バランスボールは運動が苦手な人や、しばらく運動していなかった人におすすめですよ。

―― 子育てと仕事を両立させる秘訣はなんですか?

70点、80点を目指す。100点を目指さないことです。子育て、仕事、家事合わせてトータル100点になればいいなと思っています。一人で頑張らずに、夫と家事も子育ても協力しあいながら生活しています。

山田千尋さん

―― の仕事のやりがいはなんですか?

山:たくさんありますが、自分のレッスンに来てくれた方々に「生活に変化があった!」と言ってもらえることですね。例えば「ぽっちゃりしていたのが痩せてキレイになったのが嬉しい」、「旦那さんに久々にランチに誘われた」など。産後トータルケアクラスでは、運動することで体の不調が軽減するほかに、メンタル面にも良い影響があるので旦那さんとの関係やお子さんとの関係が良くなるという効果もあります。セルフケア講座を保育園で行った時は、保育園にも「若い世代が辞めてしまう」など悩みがあり、コミュニケーションに関する講座を行いました。子どもが大切で自分のことを後回しにするのではなく、子どもが大切だからこそ関わる大人が「ココロもカラダも健やかでいる」ことの大切さをお伝えしました。講座中に園長先生から温かい内容の感想を頂いた時、思わず涙ぐんでしまう場面もあり、私も思わず涙ぐんでしまいました。保育園に限らず、悩みを抱えているお母さんは多く、その悩みの原因の根本が、当たり前に暮らしていると気づけなかったりすることがあります。生徒さん達とお話をする中で“気づき”があったりすると良いですね。
また「子供がいるから無理」と諦めずに、子育て中でもキレイになれるし、やりたいこともできる。自分の事も家族も犠牲にすることなく、働けているのが何よりのやりがいです。

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―― 仕事で壁にぶつかった場合はどうしていますか?

山:集客については悩むところです。月謝制ではなく、ワンレッスン制でこのままやっていいのか?など。そのため、自分1人の力で生徒募集するのではなく、行政が運営する公的な場に外部講師として、レッスンをしに行くことでバランスボールの認知につながると考えています。また、人のご縁は本当に大事ですね。とある子育てサロンにレッスンの企画書を持ち込みしたところ、その担当の方が知っている他の有志団体や行政や民間企業が運営する子育てサロン全部にその企画書を送って頂けたこともあります。
自分でもどんどん企画書を持って行きます。名古屋市の保健センターで産後ケアクラスをやりたいと考えているのですが、市の施設だと個人の企画が通ることが本当に難しくて。2年間、何回も通ってはチャレンジしています。先日、大村知事表敬訪問時(※注)の資料を持参したところ、ついにお話を聞いて頂くことができました!やりたい事が一歩進んで嬉しかったですね。

(※注)山田さんは2024年9月24日「一般社団法人体力メンテナンス協会」で愛知県にて自治体の仕事をされている13名の講師代表の一人として、愛知県・大村秀章知事を表敬訪問している。

 

―― 仕事において影響を受けた人はいますか?

バランスボールを始めるきっかけとなった高校時代の先輩です。先輩も母であり、デザイナーとバランスボールのインストラクターを複業しています。最近だと、お子さんを連れて海外に移住しながら、どちらの仕事も楽しく精力的にされていて、憧れの存在です。

―― モチベーションを上げるためにしていることはありますか?

山:体動かすこと、美味しいものを好きな人と食べること、寝ることです。後はたくさんおしゃべりして爆笑することも。シンプルなことですが、すぐに問題は解決してなくても、健康的な生活を送ることで気分は上がります。

―― 仕事をする上で大切にしていることを教えてください。

山:感謝の気持ちを忘れないことと、相手に直接感謝を伝えることは特に意識しています。

山田千尋さん

――  今後の仕事について目標はありますか?

山:短期目標は「目の前のことを全力で楽しむ!」です。長期目標は、80代になってもバランスボールの先生を続けることです。60代の方でバランスボールの講師をされている方がいて、長く続けられる仕事でもあります。シニアの生徒さんと同年代であれば、リアルに体の不調具合がわかり合えるし、おばあちゃんになっても自分の周りに元気な人達がいて、バランスボールを通じてコミュニティーがずっと続いていけたらいいなと思います。

――  これから山田さんのような働き方をしたい方、転職、複業を始めたい方へのアドバイスをお願いします。

山:バランスボールのインストラクターやセルフケア講座の講師は、人に教えることによって、人も整うし自分も整います。自分が変わりたいと思ったら変われる!ライフステージが変化しても、年齢を重ねても一歩踏み出すことが大事だと思います。また、複業の場合は自分の得意な事と掛け合わせている方も多いです。保育士×インストラクター、栄養士×ダイエット指導のクラス、など。ぜひ、自分の得意な事・強みを探してみてください。後、資格取得もおすすめです。「資格があれば大丈夫」とお守り感覚で、もし仕事を退職することになっても、自分で自分を納得させることができます。

――  ありがとうございました!

今回は、バランスボールインストラクターの山田千尋さんのインタビューでした。インタビューを通して、山田さんの健やかな生き方や考え方を知ることで、こちらまでパワーが湧いてくるようでした!

 

 

ライター紹介


フクザワマキコ
動物と美味しいものとお酒をこよなく愛すライター。編集プロダクション、某コーヒーチェーン店のストアマネージャーを経てフリーランスに。Yahooニュース記事をはじめ、地域ニュース、キャッチコピー、プレスリリース記事、コラムのライティング等、様々なフィールドで執筆活動を展開中。

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