ステルス値上げとは?消費者として賢く立ち回るための方法

ステルス値上げ

私たちが気付かぬ間に・・・

毎日の買い物で、「あれ?この商品、前より少なくなってない?」と感じたことはないだろうか。実は、多くの商品で内容量が減っているのに、値段は変わっていないという現象が起きている。これが「ステルス値上げ」だ。

スーパーやコンビニの棚に並ぶ商品を見ると、一見何も変わっていないように見える。しかし、よく見ると内容量が減っていたり、枚数が少なくなっていたりする。企業は「価格据え置き」と言うが、実は私たちの財布には確実に影響が出ているのだ。
なぜこのような状況が起きているのか。そして、私たち消費者はどのように対応していけばいいのか。商品の選び方から家計の管理まで、この物価上昇の時代を賢く生きていくためのヒントを探っていきたい。

ステルス値上げとは?

ステルス値上げとは、商品の内容量や個数を減らしながら価格を据え置く、あるいはわずかな値下げにとどめる企業の価格戦略である。「量目減量」や「実質値上げ」とも呼ばれ、消費者に価格上昇を気づかれにくくする手法として近年特に注目されている。

ステルス値上げ

この価格戦略が採用される背景には、原材料費の高騰や人件費の上昇といった企業のコスト増加がある。しかし、競争が激しい市場において、直接的な値上げは消費者の反発や売上減少につながる可能性が高い。そのため企業は、商品の価格を維持しながら内容量を減らすことで、実質的な値上げを実現しようとしているのだ。

現在の日本市場では、菓子類や飲料、日用品など、幅広い商品カテゴリーでステルス値上げが確認されている。例えば、従来150gだった菓子が140gに減量されても、パッケージデザインはほとんど変更されず、価格も据え置かれる。また、ティッシュペーパーやトイレットペーパーでは、1箱あたりの枚数が減少しているケースが報告されている。
また近年では、住宅等の建築物においても、国の最新の調査では1住宅あたりの面積がピーク時から狭くなっているという結果も出ているとの話である。住宅が狭くなってしまうと、結婚そのものや、家族の住設計に影響が出てしまうのではないかと懸念する。

企業側は「原材料費高騰による負担を軽減するため」「品質維持のための苦渋の決断」といった説明を行うことが多い。しかし、これらの説明は必ずしも消費者に十分に伝わっているとは言えず、商品パッケージの目立たない場所に小さく記載されるのみであることも少なくない。

このような状況は、消費者の購買行動や商品選択に影響を与えている。特に、日常的に購入する商品の場合、消費者は価格を基準に商品を選択する傾向が強いため、内容量の変化に気づきにくい。そのため、実質的な価格上昇が家計に及ぼす影響を正確に把握することが困難になっているのが現状である。

ステルス値上げ

対応策はあるのか?

筆者も良くスーパー等で買い物をしている消費者としての視点から、ステルス値上げへの対応策と生活の質を維持するための方策を提案したいと思う。

まず、日々の買い物で意識すべき大切なポイントは、単純な商品価格ではなく「単位あたりの価格」に注目することである。例えば、100グラムあたりの価格や1枚あたりの価格を計算して比較することで、実質的な価格変動を把握できる。多くのスーパーマーケットでは、商品棚の値札に単位あたりの価格が表示されているため、これを活用することが賢明だ。

また、家計管理の観点からは、購入した商品の内容量と使用期間を記録することも有効である。例えば、ティッシュペーパー1箱が何日もつのか、シャンプー1本の使用期間はどれくらいかを把握することで、実質的な支出増加を認識しやすくなる。

さらに、生活の質を維持しながら物価上昇に対応するためには、次に述べるような具体的な策が考えられる。

まず、買い物をする際は、複数の店舗の価格を比較することが重要である。(これは当然かもしれないが)スーパーマーケットのチラシやスマートフォンのアプリを活用することで、効率的な価格比較が可能となる。特売品や割引商品を上手に活用することで、支出を抑えることができる。

次に、商品の使用方法を工夫することも効果的である。例えば、洗剤や調味料などは適量を守って使用することで、無駄な消費を抑えることができる。また、保存方法を適切に行うことで、食品の廃棄を減らすことも可能だ。

加えて、代替品や類似商品の検討も有効な戦略となる。例えば、高価格帯のブランド品から、品質は同等でも価格の低い商品へ切り替えることを検討する。成分を調べたり比較したりするのはややおっくうなのだが企業側の値上げ戦略に対しては一定の効果はあるだろう。また、その季節ごとの食材を活用することで、価格が高騰している食材を避けることもできる。

長期的な視点として、家計の支出を定期的に見直し、優先順位をつけることが重要である。必要不可欠な商品と、あれば便利だが必須ではない商品を区別し、支出のメリハリをつけることで、生活の質を維持しながら物価上昇に対応することが重要となる。この物価上昇の時期にこそ、消費者としての賢さを追求していくべきなのかもしれない。価格と品質のバランスを考慮しながら、自身の生活スタイルに合った消費行動を選択していくことが、現代の消費者に求められている姿勢なのである。

まとめ

現代社会において、ステルス値上げは消費者の生活に大きな影響を及ぼす課題となっている。企業は原材料費の高騰や人件費の上昇を理由に、商品の内容量を減らしながら価格を据え置くという戦略を取っているが、これは消費者にとって実質的な値上げに他ならないため、消費者側として上記で述べたような行動を積極的に実行していくべきである。

重要なのは、表面的な説明やマーケティング戦略に惑わされることなく、自らの目で商品の実質的な価値を見極める力を養うことである。そのためには、日々の買い物における価格と内容量の記録、商品の使用期間の把握、そして家計の定期的な見直しが欠かせない。

私たち消費者一人一人が、このような意識を持って消費行動を行うことで、企業の不透明な価格戦略に対して適切な判断を下すことができる。それは単に家計を守るだけでなく、より公正で透明性の高い市場の形成にも貢献することになるのだ。物価上昇の時代だからこそ、消費者は受け身の立場から脱却し、主体的に判断し行動する存在となることが求められている。


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