6. 自分の機嫌の悪さを隠さない
誰にでも機嫌の良い日と悪い日がある。これは人間だから当然だ。しかし、その機嫌の波を職場に持ち込み、周囲に撒き散らす人がいる。不機嫌な表情、冷たい口調、ドアをバタンと閉める音。これらは全て、職場の空気を一瞬で凍りつかせる。
機嫌の悪さを隠さない人が厄介なのは、周囲がその感情に振り回されてしまう点だ。「何か怒らせるようなことをしたかな」「今話しかけない方がいいかな」と、関係のない人までビクビクし始める。すると、本来スムーズに進むはずの業務連絡や相談が滞り、全体の生産性が落ちる。
さらに深刻なのは、この手の人は自分の感情コントロールができないことを他人のせいにする傾向があることだ。「あいつがミスをしたから機嫌が悪い」「この会社のシステムがダメだからイライラする」と、外部要因に責任転嫁する。しかし、大人の社会人として、自分の感情は自分で管理するのが基本だ。プライベートで嫌なことがあっても、職場に持ち込まない。これができない人は、結局どこに行っても問題を起こす。
7. 会議で必ず否定的な意見から入る
新しい提案や企画が出されると、必ず「でも」「しかし」「難しいんじゃないか」と否定から入る人がいる。建設的な批判ならば価値があるが、このタイプは単に反対のための反対をしているように見える。
否定的な意見を繰り返す人は、自分では慎重派やリスク管理者を演じているつもりかもしれない。しかし、周囲からは「あの人がいると何も進まない」「新しいことにチャレンジする気が失せる」と思われている。特に日本の職場では、一人の反対意見が全体の足を引っ張ることが多い。全員一致を求める文化があるためだ。
心理学的に見ると、常に否定的な人は「変化への恐怖」や「失敗を極端に恐れる性格」が根底にある。自分が新しいことを提案して失敗するのが怖いから、他人の提案も潰そうとする。これは一種の防衛機制だ。しかし、イノベーションは失敗の中から生まれる。否定ばかりしていては、組織は停滞し、市場競争に負けていく。建設的な議論と、ただの否定の違いを理解する必要がある。
8. 自分の成果ばかりをアピールし、チームの貢献を無視する
「私がやりました」「私の提案で上手くいきました」と、常に自分を主語にして成果を語る人がいる。確かに自己アピールは重要だが、度が過ぎると周囲から反感を買う。
この手の人が見落としているのは、ビジネスにおける成果のほとんどがチームワークの産物だという事実だ。あなたが素晴らしいプレゼンをできたのは、資料を作ってくれた後輩がいたからかもしれない。プロジェクトが成功したのは、裏で地道にサポートしてくれたメンバーがいたからだ。それを全て自分の手柄のように語ると、貢献した人たちは「次はもう協力したくない」と思う。
さらに目も当てられない残念なところは、失敗した時には「チームの責任」「環境のせい」と言い訳する一方で、成功した時だけ「私の手柄」と主張するダブルスタンダードだ。このような人は本当に誰からも信頼されなくなる。そして気づいた時には、周りに誰もいなくなっている。成果は分かち合い、失敗は共に背負う。この姿勢がチームの雰囲気を良くする鍵だ。
9. 仕事以外の雑談を完全に拒否する

「仕事中は仕事だけに集中すべき」という信念のもと、雑談を一切拒否する人がいる。ランチに誘っても断る、休憩時間も黙々とデスクワーク、天気の話すら無視。確かに効率重視は重要だが、行き過ぎると職場の人間関係を壊す。
人間関係は雑談によって深まる。「週末はどこか行ってきたんですか?」「最近ハマっているものはありますか?」といった他愛もない会話が、実は相手を理解し、信頼関係を構築する土台になる。仕事だけの関係では、機械的なやり取りしかできず、困った時に助け合う文化が育たない。
また、雑談には重要な情報交換の側面もある。世間話の中から思わぬ仕事のヒントが生まれることもあるし、他部署の動向を知ることもできる。「効率」だけを追求して人間的なつながりを排除すると、結果的に孤立し、重要な情報ネットワークから外れてしまう。仕事ができる人ほど、実は雑談力が高いものだ。効率と人間関係のバランスを取ることが、長期的な成功につながる。
10. 「それ私の仕事じゃないので」と線引きしすぎる
職務範囲を明確にすることは重要だが、何でもかんでも「私の仕事じゃない」と突っぱねる人がいる。グレーゾーンの業務が発生した時、率先して「誰がやるんですか?」と責任の押し付け合いを始める。このタイプは、自分の守備範囲を狭く定義しすぎている。
職場はチームで動いている。全ての仕事がきれいに職務記述書通りに分類できるわけではない。突発的な問題、部署をまたぐプロジェクト、誰かがカバーしなければならない緊急事態。そんな時に「私の仕事じゃない」と言い続けると、周囲から「協調性がない」「チームプレイヤーじゃない」と見なされる。
興味深いことに、「それ私の仕事じゃない」と言う人ほど、自分が困った時には他人に助けを求める傾向がある。しかし、普段から線引きばかりしている人を、誰が助けたいと思うだろうか。人間関係は相互扶助で成り立っている。今日のあなたの「ちょっとした協力」が、明日のあなたを救うかもしれない。柔軟性と協調性は、現代の職場で最も求められるスキルの一つだ。
まとめ|無意識の言動が職場の空気を澱ませる
ここまで10個の「気づかない内に職場の雰囲気を悪くしている言動」を見てきた。どれも悪意があるわけではない。むしろ本人は正しいと思ってやっていることも多い。だからこそ厄介なのだ。
職場の雰囲気は、大きな事件や問題で壊れるわけではない。日々の小さな言動の積み重ねが、じわじわと空気を悪くしていく。一つ一つは些細なことかもしれないが、それが毎日続けば、やがて誰も話したがらない、協力したがらない、冷たい職場になってしまう。
もしあなたがこの記事を読んで「あ、これ自分かも」と思う部分があったなら、それは素晴らしい気づきだ。自分の言動を客観的に見られる人は、改善もできる。逆に「自分は当てはまらない」と思った人こそ、実は要注意かもしれない。
相手の立場で考える共感力、適切にコミュニケーションを取る姿勢、そして自分の言動を振り返る謙虚さ。これらがあれば、誰でも職場の雰囲気を良くする存在になれる。
まず一つでいい。自分の言動を振り返ってみよう。誰かの仕事を評価する前に、まず良い点を見つける。忙しいアピールをやめて、笑顔で「どうしたの?」と聞いてみる。小さな変化が、やがて職場全体の空気を変えていく。
職場は人生の大半を過ごす場所だ。どうせなら、居心地の良い空間にしたい。そのために必要なのは、他人を変えることではなく、まず自分の言動を見直すことなのである。
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