
なぜか職場の空気が澱んでいる
職場の空気が何となく重い、チームの雰囲気がギクシャクしている。そんな時、原因は意外と身近なところにある。もしかしたら、あなた自身が気づかないうちに職場の雰囲気を悪化させているかもしれない。今回は、本人には悪気がないのに周囲を不快にさせてしまう言動を10個ピックアップして、その背景や改善策まで深掘りしていく。
1. 「前の会社では〜」という比較発言を繰り返す
転職してきた人に多いのが、この「前の会社では」フレーズの連発だ。本人としては豊富な経験を共有しているつもりなのだが、聞かされる側は「じゃあ前の会社に戻れば?」という気持ちになってしまう。
この発言が厄介なのは、無意識のうちに現在の職場を否定するニュアンスを含んでしまう点である。「前の会社ではもっと効率的にやっていた」という発言は、暗に「今のやり方は非効率だ」と言っているのと同じだ。しかも、前の職場を美化して語る傾向があるため、現実以上に理想的な環境だったかのように聞こえてしまう。
特に中途採用者は、早く職場に馴染もうとして自分の経験をアピールしたくなる気持ちは理解できる。しかし、比較ではなく「こういう方法もありますが、いかがでしょうか」という提案形式に変えるだけで、受け取られ方は180度変わる。経験は武器だが、使い方を間違えると凶器になるのだ。
2. 他人の仕事の粗探しばかりする
完璧主義者に多く見られるのが、この粗探し癖である。「ここが間違っている」「この表現はおかしい」と、他人の仕事のミスや不備ばかりを指摘する人がいる。本人は品質向上のためだと思っているのだが、周囲からは「重箱の隅をつつく面倒な人」と認識されている。
この行動の本質的な問題は、良い点を一切評価せずに悪い点だけをフォーカスする姿勢にある。人間は承認欲求を持つ生き物だ。頑張って仕上げた仕事に対して、まず「ここは良くできているね」という肯定があれば、その後の改善点も素直に受け入れられる。しかし、いきなり否定から入られると、防衛本能が働いて心を閉ざしてしまう。
さらに厄介なのは、この手の人は自分の仕事に対する批判には極端に敏感だという点だ。他人には厳しいが自分には甘い。このダブルスタンダードが、周囲の不満を倍増させる。完璧を求めるなら、まず自分が完璧であるべきだが、完璧な人間などこの世に存在しない。
3. 常に忙しいアピールをして余裕のなさを演出する
「いや〜、もう本当に忙しくて」「時間がなくて死にそう」と、会うたびに忙しさを強調する人がいる。これは一見、仕事熱心に見えるかもしれないが、実は周囲にとってはかなり煩わしい存在だ。
忙しいアピールが厄介なのは、それが他者への暗黙の拒絶メッセージになってしまうからだ。「忙しいから話しかけないで」「あなたの相談に乗る時間はない」という防御壁を張っているようなものである。すると、本当に重要な情報共有や相談事も遠慮されてしまい、結果的にチーム全体のコミュニケーションが停滞する。
また、常に忙しいと訴える人は、実は時間管理が下手なだけというケースも多い。優先順位をつけられず、すべての仕事を同時進行しようとして自滅している。そして、その混乱を「忙しさ」という言葉で正当化しているのだ。周囲は「それ、あなたの能力の問題では?」と内心思っているが、口には出せない。この温度差が、静かに職場の雰囲気を悪化させていく。
4. 陰で人の悪口や愚痴を言いまくる
表面上は穏やかに振る舞いながら、影では特定の人物の悪口や組織への不満を言いまくる。このタイプは、共感を求めて同調者を増やそうとするが、実は最も信用されない存在である。
悪口や愚痴が職場の雰囲気を壊す理由は単純だ。「この人は私がいない時に、私の悪口も言っているのだろう」と誰もが思うからである。人間は鏡の法則で動く。あなたが他人について話す内容は、あなた自身の評価基準や人格を反映している。だから、常に他人を批判している人は、自分自身も批判されていると考えるのが妥当だ。
さらに、愚痴や悪口は感染力が強い。最初は聞き手だった人も、いつの間にか同じような否定的な視点で物事を見るようになる。職場全体がネガティブな空気に包まれ、生産性が低下する。心理学では「認知的不協和」という現象があり、ネガティブな環境にいると、人は自分を正当化するためにさらにネガティブな解釈をするようになる。悪循環のスパイラルだ。
5. 返事や反応が極端に薄い
話しかけても「あ、はい」だけ。メールを送っても既読スルー。会議で意見を求められても「特にないです」。このように、コミュニケーションにおける反応が極端に薄い人がいる。本人は内向的な性格なだけかもしれないが、周囲は「この人、私のこと嫌いなのかな」と不安になる。
人間のコミュニケーションは、言葉だけでなく反応によって成り立っている。適切なフィードバックがないと、相手は自分の発言が届いているのか、理解されているのか、受け入れられているのかがわからず、不安になる。特に日本の職場文化では「察する」ことが重視されるため、明確な反応がないと「否定されている」と解釈されやすい。
また、反応が薄い人は、実は情報を受け取っていないケースも多い。聞いているようで聞いていない、見ているようで見ていない。すると、後から「聞いてない」「知らない」という問題が発生し、プロジェクトに支障をきたす。コミュニケーションは双方向だ。受信したら必ず送信する。このシンプルなルールを守るだけで、職場の空気は大きく改善する。
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