日本の「人手不足問題」とは何なのか

日本は現在、深刻な人手不足に直面していると言われている。この問題は、日本の経済成長の妨げとなるだけでなく、社会全体に様々な影響を及ぼす可能性がある。ここでは、日本での人手不足の現状や解消への取り組み方について考察する。

高齢を迎えても「まだまだ現役」

日本の総人口は減少傾向にあるのは既知の通り、とりわけ労働力人口の減少が顕著である。総務省のデータによると、2020年時点労働力人口は約6,700万人であり、これが2030年にはさらに減少すると予測されている。また、これも想像に容易いが、明らかな高齢化が進んでいる中で、65歳以上の高齢者が増加し、働き手が不足しているという状況にある。しかし実態は65歳以上でもまだまだしっかり働ける、もしくはまだまだ働かなくていけないという事情を抱える人も多く、それにより労働力人口の中での年齢比は上がっていると推測され、これは人手不足問題と異なる解釈だが、一昔前と比較すると高齢を迎えた方々の「現役期間」も延びているように見受けられる。
業種ごとの影響もわかっている。特に介護職、建設業、製造業、サービス業などで人手不足が顕著な状態である。これについては若い世代へのアピールをどのようにすれば、その仕事に興味を持ってもらえるか。という部分で抜本的に見せ方を変えていくことが必要なのかもしれない。
人手不足

大都市圏と地方都市の問題

大都市圏と地方による状況も異なっているようである。地方では若年層の流出が続いており、地域経済が衰退している。筆者の地域でも、人口の若年層の流出と高齢化は明らかで、そういった負のスパイラルによって、どんな新たな試み(雇用創出や商店街の賑わいづくりなど)をしても、そもそも活動的人口が大都市圏への関心を抱き、地元から飛び出してしまうから、新たなムーブメントが生まれる可能性が極めて低い。そんな状況から、企業誘致も進まず、生き残りをかける組織はますます大都市圏をターゲットとした商圏に目を向けざるを得ない。そうなると一方の大都市圏では競争が激化し、売り手市場が続く。企業は優秀な人材を確保することが困難な状況となっている。合理的観念により地方からの流入が加速している若年層、活動人口層が増加してはいるが、それ以上に企業は生き残りをかけた大都市圏での競争に拍車がかかっているのだろう。もちろんこれは一部の捉え方であり、お分かりであろうと察するが、求職者にとって売り手市場であるからといって思い通りの就職活動や転職活動が出来るとは限らない。自分に合ったベストな企業を探すという行動は、景気の良し悪しや需要と供給の状況からは離れた観点で考えていかなければならない。

外国人労働者の受け入れ

現在、日本国内においては外国人労働者の特定技能制度の導入もあり、外国人労働者の受け入れが進んでいる。しかし、受け入れや労働環境に関しては様々な問題や課題が顕在的にも潜在的にも存在し、もろ手を挙げて推進するのが本当に最適解なのかどうかは、もう少しお偉い方による議論が必要ではないかと感じている。ただ議論して議事録を作って終わりにしていただきたくはない。マクロ視点で大枠を決めてしまうのではなく、ここまで浸透が進んでいて課題点が見え隠れしているのだから、もっとミクロ視点で状況を把握し、一つ一つが解決に向かう方法を議論していただきたいと願っている。

AIの活用と本質的課題

一方でAIやロボティクス的なものの導入により業務の効率化を行い、人手不足を補う策が進められている。大量生産における生産性の向上といった部分や、物流業界での新たな可能性といったところの相性は確かに良いのかもしれない。話は少し逸れてしまうが、企業の規模的・財務的な側面から見た現状はどうだろう。日本の約99%は中小・零細企業である。機械化・自動化に積極的な立ち位置にいる企業は果たしてどのくらいあるだろう。もちろんこの論法が全てではない。小さい会社であってもその事業のテクニカルな部分をAI活用で効率化させ、収益を倍増させている企業もある。一概に筆者の論法は通じないが、それでもまだまだ現実的ではない。極少なくとも周りの企業は日々の原料コスト上がりと人件費比率の上がり幅ばかりに論点が集中する。そうはいっても、日本の企業の内部留保が四半世紀にわたって続いているという側面もあるそうで、それが設備投資を鈍らせていると考えることも出来るが、本質的な問題解決は、どのバランスとバランスを整理すれば良いのか、まだまだ熟考の必要がある。

まとめ

最後になるが日本の人手不足問題は、単なる労働力の不足に留まらず、社会全体の持続可能な発展にも影響を与えている、そして今後もその影響がはっきりとしてくるのは間違いないことであろう。しかし、単に少子高齢化の影響が大部分を占めているかといえばそうではないとも感じている。「働き方」の多様化も加え、一人一人の仕事に対する考え方や捉え方の変化も見据えながら、会社組織から湧く創意工夫が今、求められている。

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