置き去りにされる利用客の視点

現在の状況は、まさに「売り手市場」である。訪日外国人観光客の増加により、高額な宿泊料金でも客室は埋まる。北海道ニセコの例がその最たるものである。近年のそういった状況により、多くのホテルは料金の引き下げや、サービス向上への投資に消極的になっているのではないだろうか。
実際、あるビジネスホテルでは、エコやCO2削減の取組み等といった環境問題への解決を図る目的があることを理由に、客室の清掃頻度を減らしているという。その状況で宿泊料金が値上げされていたりする状況は、サービスを受ける側にとっての目的が達成されていない。確かに環境への配慮は大事だ。だが利用者は宿泊する際にいちいちそれを求めない。
持続可能な観光産業の発展に向けて
確かに、ホテル業界には人手不足や原材料費の高騰など、様々な課題がある。しかし、それを理由に、過度な料金設定や、サービス品質の低下を正当化することはできない。観光立国を目指す日本にとって、宿泊産業の健全な発展は不可欠である。
そのためには、短期的な利益追求ではなく、長期的な視点での投資が必要だ。人材育成やサービス品質の向上、施設の整備など、持続可能な観光産業の発展につながる取り組みを、業界全体で進めていく必要がある。
また、宿泊税についても、その使途の透明性を高め、真に観光振興につながる施策に活用されるよう、検証を強化すべきである。高額な宿泊料金と宿泊税の二重負担に、利用客の理解を得るためには、それだけの説明責任や広く理解を求めるための行動が必要だ。
観光産業は、地域経済の重要な柱である。しかし、目先の利益に走るあまり、持続可能性を損なうことがあってはならない。この問題に真摯に向き合い、適切な対応を取ることを期待したい。

まとめ
宿泊料金の高騰と宿泊税の導入は、確かに観光産業の発展に伴う一つの現象かもしれない。しかし、その背景にある構造的な問題や、利用客への影響を無視することはできない。
今後、インバウンド需要はさらに拡大すると予想される。その中で、日本の宿泊産業が真の意味でのおもてなしを実現できるかどうか。それは経済的な成功だけでなく、日本の観光立国としての評価にも関わる重要な課題となる。
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